レーシングサービスマニュアル

星の数ほどあるワックス説明。 しかしながら未だにはっきりと何をしていいのか解らない! そういう方のために、スキーに対するワックス作業のイロハを根底から説明しよう。 今までいろんな方面からワックスに対する理解を深めようとたくさんの試みが行われたが、今回は幾多の説明方法を簡単にまとめ、多く3つのステージに分けた。

1 ベース・プレップ・アプリケーション(自宅にて)

2 レース・ワックス・アプリケーション(レース会場、ワックスルームにて)

3 トップスピード用オーバーレイ(コース上にて)

4 主な生塗り用ワックス製品紹介

第1章にて、滑走面に何故ワックスを塗るのか、またワックスを塗るとどういった効果が出るのか等に触れてきたが、実際ワックスを塗る作業に入る前にどういう知識が必要なのだろうか。

1 何のためにワックスを塗るのか
2 ワックスを塗る為にどういう準備が必要か
3 ワックス選択方法(3つの視点)
@ 固さ
A 湿気
B 静電気

1 ベース・プレップ・アプリケーション(自宅にて、又はレース終了後)

フッ素の入っていないベースワックス、ズーム、又はリニューズーム等をアイロンで溶かして塗る。
 目的
・ベースクリーニングと、古いワックスの除去
・トラベル時の傷防止
・レースワックスを乗りやすくさせる。


@フッ素配合されていない、ベースワックスを使い、アイロンをかけた後すぐにホット・スクレープする。 ホットスクレープした時にはいだワックスに汚れが混ざらなくなるまで繰り返す。

Aレース後、次のレース会場へ運ぶ時、クリーニング(@)をかけた後厚めに塗る。 ベースが擦れあってストラクチャーに横線の傷が付くことを避けるため。

B化粧のファンデーションと同じく、ベース(ポリエチレン)に直接レースワックスを塗りこむより、ベースの下作りをしたほうが、後々レースワックスの乗りが良くなる。

C滑走面の乾燥を防ぎ、保存しておく時にも有効である。

総合的に、新しい板のベース下作りには、リニューズームを使用する。 リニューズーム
はベースの奥底まで染み込む柔らかいワックスと、ベースの表面を覆う硬いワックスの成
分が両者共含まれている為、従来の用に柔らかいワックスから硬いワックスへと段階を踏
んでベース作りをする必要が無くなった画期的な製品。

レースの合間、クリーニング等では、その次に使用するレースワックスと同じ硬さのもの
を使用する。 レース・ズーム使用の場合はズームを使用する。
(詳しくは: www.dominatorwax-japan.com)


2 レース・ワックス・アプリケーション(ワックスルームにて)

レース時の雪にあった4x4ワックス、ズームシリーズ、又はクリスタルボールで選択したワックスをアイロンで溶かして塗る。


目的 雪と滑走面で生じる摩擦を減少させる為


雪と滑走面で生じる摩擦を減少させる為に、レース前に滑走面にワックスを塗る。

@まず、4x4(自分でワックスを選択する)か、ズーム・ブレット(全雪温対応)シリーズで攻めるか選択する。

A4x4を選択した場合は、大会コースに事前入り行い雪の調査が必要。最低雪温、湿度、雪の新鮮度、雪の結晶について理解しておかなくてはいけない。 4x4ワックスは入手したデータをもとにチャート、あるいはバーチャル・テクニシャン(ウエブサイト参照)を使ってワックス選択をする。(詳しくは: www.dominatorwax-japan.com)

Bズーム・ブレット シリーズを選択した場合は、レース前日にスキー場へ雪の新
鮮度を確認。要は最後の降雪から何日たったか聞くだけ。 降雪から3日間で大まかに雪
の結晶は角が取れるため、降雪3日までの雪はNEW、降雪3日目からの雪はOLDと分
類される。 1日に降った雪は3日までNEW、4日目からOLDとなる。 もし雪温が
−10℃以下の場合はブレットを混合させて使用する。 又は、クリスタルボールのチャ
ートを使用し、使用するワックスを選択する。 (詳しくは:
www.dominatorwax-japan.com)

ワックスの正しい選択法に関しては第1章何故ワックスは必要か?を参照

何を選択するか?

@静電気対応ワックス: FG(新しい雪) or SRB(古い雪)
A乾燥摩擦対応ワックス: カラー(固さ)を選択し、Bのフッ素値を決める
B水分摩擦対応ワックス: Aのカラーに添ってフッ素度決めワックスを選択
C高速ターボは必要かどうか?  F65(またはQ6、R6)が必要な条件かどうか?
Dスタートの条件は?  Q、Q6、R6、レースロケット、バター



3 トップスピード用オーバーレイ(コース上にて)

前もって用意しておいたレース用板へのファイナルタッチ。 レース用へのスピード増加のみならず、予想以上に雪が湿っている場合、逆の場合、新雪を想定したら雪が降らなかった、雪が古いと想定したがドカ雪になった、雨が降ってきた等、さまざまな突発的な急変に対応する。


目的
・Q、Q6、R6、バター等で、スタート時の加速度を補う。
・Q6、R6、65等で、トップスピードからさらなる加速を狙う。
・レースロケットを使用し、予期しなかった天候変化に対応する。


ケース: 
1) 滑走した後の雪面がテカっている。 雪面に水分が浮いてきている状態なので、スタートにQ、又はQ6を使用する。

2) ストックで雪をさすだけでズぼっともぐるような状態、雪を板で踏みつ
けるだけで水分が浮いてくるような状態ではバターを利用する。


3) 滑走面の水滴がすぐに凍りつくような場合はR6を利用する。

4) 高速レースではロケット類の使用は避ける。


4: 主な生塗り用ワックス製品紹介:

バター: 
雪中の湿度が非常に高い場合、大気温が高い場合に使用する高フッ素配合摩擦
防止ワックス
・通常のレースワックスを仕上げた後にスタートで塗る。
・安価で耐久性が良い

レースロケット: 
全雪温対抗、ミッドフッ素グラファイト配合の生塗り用ワックス。  OLDスノー用に灰色、
NEWスノー用に黒色と2色のバーに別れており、各々に専用コルクが付いている。
・通常のレースワックスを仕上げた後にスタートで塗る。
・低速時に抜群の加速性能がある。
・低温時にも威力を発揮する
・水分、静電気双方の摩擦に対応する。
・ワックス選択を誤った場合に即対応出来る。
・滑走の合間に薄く塗るだけで、十分なリフレッシュとなる。
・パニック時に使用する。(寝坊してワックス塗ってない場合とか。。)

65: 特許商品 
高速時でもさらなる加速を産み出すワックス業界唯一の製品。 20gで60ペアのスキー
を用意できる、高額ながらも最も経済的かつ、耐久度の強い製品である。
・通常のレースワックスを仕上げた後にスタートで塗る。
・雪の結晶がとがっている時は硬さを増す為にレースロケットと少々混ぜても良い。
・雪が極端に湿気ている時は、バターと一緒に利用する。

Q6: 特許商品 
フッ素と、固形フッ素の混合。 アルペン、スノーボード、クロスカントリー等、全ての競技
に使用出来る最も幅広い武器。
・通常のレースワックスを仕上げた後にスタートで塗る。
・湿雪時にトンでも無い初速〜高速時での加速性を誇る。
・雪の結晶がとがっている時は硬さを増す為にレースロケットと少々混ぜても良い。
・雪が極端に湿気ている時は、バターと一緒に利用する。

R6: 特許商品 
Q6に近いパフォーマンスを極寒の条件下でも発揮出来るように調合、冷たい雪にもアジャスト出来る様ペースト状の仕上げとなっている。 
・通常のレースワックスを仕上げた後にスタートで塗る。
・単体でも使用可能


チューニング、仕上げの手順

@アイロンしたワックスは最低2時間はそっとしておく。熱く激しい・・・・後は、しばらく横たわるのと同じだ。
  A最初にサイド、エッジ、溝等のワックスを取ってしまう。スクレーパーでベースを傷つけないためにも。
 Bシャープ(ケバの無い)なスクレーパーでベースのワックスを全てスクレープする。
 Cワックスのカス等を取り除き水でスプレー。 ブラス、またはコンビブラシで満遍なくブラッシング。 
 Dブラッシングは、一回一回ペーパーで汚れを拭き取って、また水をスプレーするのを繰り返す。
 E両腕が疲れてきた頃(ワックスのカスが出なくなってきた頃)、Dを繰り返しホースヘア・ブラシで仕上げブラシ。
 Fトップスピード、オーバーレイを塗り込む際は、まずあまり力をいれずベースに薄く塗りつける。 
 Gフィニッシュクロスを用いプレッシャーをかけず、速いスピードで滑走面に塗り込む。
 H白っぽい粉が滑走面上に見えなくなったらD、Eの繰り返しで出来上がり! 
スタート前、最後の調整
o乾燥雪の場合はベースを滑らにさせた後はままそっと雪温に馴染ませる。スタート5−10分前に板をつけて足を直前まで前後に動かす。
o湿雪の場合はスタート直前にブラス、コンビ等固めのブラシでブラッシングする。
o極寒時には、ウエットブラシを避け、素手でエッジ、滑走面に触らない様注意。 ホースヘアでブラッシングをした後は滑走面を雪につけずに置いておく。 スタート5−10分前に板をつけて足を直前まで前後に動かす。
o水が浮いているような場合は、スティールブラシで思いっきりブラッシングするとやばいほど、良く滑る。 スタート直前まではかない。  
o何をしても滑らない場合: 
o-アイロン用の固めのワックスを薄く生塗りしてみる。 失敗したワックスに滑走面を摩擦させる支障がないくらいうっすらとぬり、コーティングをかけてあげる
-先入観に捕らわれず、とにかくいろいろと試してみる事。 自分の板を使っても良いし、いろんなコンビネーション、生塗りを試してみると良い。 
-即時性が期待できるのはレースズーム、Jフォーミュラ、またはレースロケット等のサーモアクティブ系を生塗りする事だ。 
o手入れ:
@ ピットレーン
ベースケアワックス、 HXベーシック
ベースの手入れ、クリーニング、

A グリッド・フォーメーション
FXシリーズ、レースズーム、トップスピード

B スタート前;
ブラシがけ、トップスピードのプレップ


レース: どのワックスがどこでキックインするか?

スタート: 第1速
Q、Q6、R6、

レース:  第2速〜6速
SRB、FXシリーズ、ズームシリーズ

トップスピード: ターボチャージ
65、Q6、R6
ウエット・ポリッシング

ドミネーターが独自の研究により開発したウェット・ポリッシングを紹介しよう。 ラボでの実験も、雪上での実験も同様に、ウエットブラッシングはフルーロベースワックスでの滑りが改善されている事をあらわしており、ワックスレイヤーにはつやがでて、顕微鏡実験でも非常に滑らかになっていることがわかる。 滑らかなワックスレイヤーは、遅れを減らし、より速い滑走へとつながる。 

1 ウエットブラッシングは、より効果的なポリッシングを生み、ベース構造を露出させ滑らかになり、ワックスレイヤーへの摩擦も少ない。
2 ドライブラッシングは静電気を起こし、それが摩擦を大きくする。 
3 ウエットブラッシングは、静電気を抑えている。