"クリスタル・ボール" ワックス予測検証


THE 2003-2004 SEASON

正しいワックス選択は、練習であろうと本番であろうと我々にとって常にチャレンジングな過程である。特に長距離コースの場合、雪の状態に対する情報が詳細に渡って用意されないとワックス選択は非常に難しい。 そこで我々は日本の天候は地域によって非常にパターン化出来ることに注目し、過去のデータを徹底的に検証し、冬期の天候予想図を作成した。これによって特定のスキー場、地域に分けた雪の状態を予測することが可能になったのである。この雪予想が的中すれば、時期と地域によって塗るワックスを想定できる為、非常に有利な情報となる。 

日本全国から代表的な21の地域を選択し、12月〜3月まで過去3年間の天候データを集め特殊な統計モデルを用いて分析した結果を、月毎に各地域の天候及び雪予想という形でまとめた。地域別雪予想はまるで占い師が将来の天候を予想しているようだとの発想で、「クリスタル・ボール」と名づけられた。

予想された雪の状態に対して我々が行ったワックスの選択基準は最もパーフォーマンスが高く料金も抑え目で幅広く対応出来るワックスである。 月毎という長期間や必ず存在する天候急変に対応させる為、ホットワックスはやはりドミネーターが開発した画期的なサーモアクティブ・システムのズームシリーズ(ズーム、ハイパーズーム、レースズーム)と極寒調整用のブレットシリーズである。レースロケット、バター、Q6、65は生塗りで滑走効果をさらに向上させる役割と、天候急変の際効果的に対応する調整用として使用出来る。

当日現場に入ったら予想と全く異なる条件だった際の“クイック・フィックス”対応方法も紹介された。これらの詳しい案内はホームページで調べることが出来る。(www.dominatorwax-japan.com.)

図1は、札幌の結果を簡単にまとめた例である。ここでは降雪、最低気温、平均気温、推薦ワックス等が予想されている。1月の札幌では平均的に曇り/雪(平均値では、一月15日間降雪があり、1日の日照時間は焼く95分)、夜間最低気温は−15℃、日中の平均気温は−4℃である。日中の平均気温が−4℃であれば、通常0℃〜−8℃くらいの温度変化が予想される。 推薦したワックスはブレット・ニュースノー、生塗り用にレースロケットである。実際統計を出す為には、積雪量、湿度、雪冷却値、日々の降雪量、風速、風向き等詳細なデータを用いたが、ここに記載したのは、簡単にまとめた実戦で必要になるものだけである。全国21のリゾートへの図1と同じ情報がウエブサイトwww.dominatorwax-japan.com. でチェックできる。

図 1: クリスタルボール予測 札幌

北海道 札幌
12月
1月
2月
3月
平均天候と曇りの確立
平均気温
-3C
-4C
-4C
0C
最低気温
-10C
-15C
-12C
-8C
ホット・ワックス
RaceZoom New Snow
Bullet New Snow
Bullet New Snow
RaceZoom Old Snow
生塗りワックス
*トップスピード用
Race Rocket
Race Rocket
Race Rocket
Q6/Butter


4月初旬、今年度(2003年12月〜2004年3月)にクリスタルボールで予想した21リゾートの天候記録を気象庁から手に入れクリスタルボールの効果を検証した。 図2では、札幌での予想と実際の比較図を用意した。 札幌では、1月の降雪日が20日間に対し予測では15日、日中の平均日照時間が87分に対し予測は95分、夜間平均最低気温は−11℃に対し予測は−15℃、日中の平均気温は−3℃に対して予測は−4℃であった。

図 2: クリスタルボール予測と実際、札幌

北海道 札幌
12月予測
2003年12月
実際
1月予測
2004年1月
実際
平均天候と曇りの確立
平均気温
-3C
-2C
-4C
-3C
最低気温
-10C
-14C
-15C
-11C
2月予測
2004年2月
実際
3月予測
2004年3月
実際
平均天候と曇りの確立
平均気温
-4C
-2C
0C
0C
最低気温
-12C
-10C
-8C
-10C

図 1: クリスタルボール予測 札幌

北海道 札幌
12月
1月
2月
3月
平均天候と曇りの確立
平均気温
-3C
-4C
-4C
0C
最低気温
-10C
-15C
-12C
-8C
ホット・ワックス
RaceZoom New Snow
Bullet New Snow
Bullet New Snow
RaceZoom Old Snow
生塗りワックス
*トップスピード用
Race Rocket
Race Rocket
Race Rocket
Q6/Butter

日中の平均気温は、予測と同じ気温の場合はA、誤差が2℃以内であればB、誤差が3℃〜4℃であればC、そして誤差が5℃〜6℃であればDの評価が与えられた。

この比較は全21リゾートにて4か月分、84回の比較を平均気温、最低気温、降雪日、平均日照時間に分けて行い、結果をA(予測適中), B(ほぼ適中), C(良好) とD(まあまあ)の4段階評価にわけ FIGURE 1〜FIGURE 4に記載した。日中の平均気温と最低気温は、予測と同じ気温の場合はA、誤差が2℃以内であればB、誤差が3℃〜4℃であればC、そして誤差が5℃〜6℃であればDの評価が与えられた。

日中平均気温予測の評価はFIGURE 1でまとめられている。 84回の予測の内、60までがA、Bが21、Cは3のみであった。 これは、96%のクリスタルボール予測が2℃以内で適中しているという素晴らしい結果である。日中の平均気温はワックス選択の際にどういった気温を念頭におくかで大事な部分である。

Figure 1: 平均日照時間の検証結果

A=excellent(予測適中), B=very good(ほぼ適中), C=good(良好) D=fair(まあまあ)

最低気温予測の評価はFIGURE 2にまとめられた。84回の内、Aが12、Bが51、Cが18、Dが3であった。 2℃以内の適中は74%、4℃以内の適中は96%であった。 日中の平均気温に比べ、最低気温は1日に一回出る一つの温度を予測する為難しく、この予測結果はかなり良いはずである。最低気温の予測はワックス選択をする時に雪がどこまで固くなるかを想定出来、氷結/融雪のサイクルで生まれるアイスバーンの状況を想定出来るのである。

Figure 2: 最低気温予測の検証結果

A=excellent(予測適中), B=very good(ほぼ適中), C=good(良好) D=fair(まあまあ)

最低気温は、予測と同じ気温の場合はA、誤差が2℃以内であればB、誤差が3℃〜4℃であればC、そして誤差が5℃〜6℃であればDの評価が与えられた。 

降雪日の日数予測はFIGURE 3にまとめた。 予測と同じ降雪日数の場合はA、誤差が2日以内であればB、誤差が3〜4日であればC、そして誤差が5〜6日であればDの評価が与えられた。 84回の内、Aが9、Bが27、Cが33、Dが15であった。 これによると、クリスタルボールの降雪日数予測では2日以内の適中は43%、4日以内の適中は84%であった。 降雪日数予測は月毎に行う為、仮に1月31日の午後から2月1日午前までが雪になったとして、予測から半日分ずれたとすると、既にここで予測はAからBへとなるわけであり、これもドンピシャあてるのは困難である。 降雪日数予測は、ワックス選択において雪の結晶がどれだけ角が立っているかの目安となり、静電気がどれだけ発生するかを予測する目安となる。

Figure 3: 降雪日数予測の検証結果

予測と同じ降雪日数の場合はA、誤差が2日以内であればB、誤差が3〜4日であればC、そして誤差が5〜6日であればDの評価が与えられた。

日中の平均日照時間の予測はFIGURE 4にまとめた。 予測から10分以内であればA、誤差が10分〜20分であればB、誤差が21分〜30分であればC、そして誤差が30分以上であればDの評価が与えられた。 84回の内、Aが35、Bが22、Cが15、Dが12であった。 これによると、クリスタルボールの日中平均日照時間予測では86%の予測が30分以内で的中している。 日照時間はワックス選択において、雪がどれだけNEWからOLDに変化するかを測定する為の統計となる。

Figure 4: 日照時間予測の検証結果

予測から10分以内であればA、誤差が10分〜20分であればB、誤差が21分〜30分であればC、そして誤差が30分以上であればDの評価が与えられた。

さて、ここで実際にクリスタルボールで予測されたワックス選択がいかに実戦に役立ったか見てみよう。 FIGURE5にはワックスのパフォーマンス結果が記載されているが、予測されたワックスが雪のコンディッション通りのものであったら"A"、スタートワックスや、生塗りを若干足す等で調整出来るものは"B"、緊急対応用(トラブル・シューティング)を用いて対応出来るものは"C"、トラブル・シューティングを用いても対応出来ないものは"D"である。84回の内、73のホットワックス選択が"A"、8が“B"、わずか3が"C"であった。 87%の予測が的確にワックス選択を当てた事になり、10%は簡単な追加で調整が可能という事である。 つまりは今シーズンクリスタルボールを使用してワックスを選択した人々は97%の確立でワックス選択を誤らなかったという意味である。

Figure 5: クリスタルボールによるワックス選択予測の検証結果

予測されたワックスが雪のコンディッション通りのものであったら"A"、スタートワックスや、生塗りを若干足す等で調整出来るものは"B"、緊急対応用(トラブル・シューティング)を用いて対応出来るものは"C"、トラブル・シューティングを用いても対応出来ないものは"D"である。

忘れてはいけない事は、こういう統計モデルは年によって変わる可能性があり、来年はまた若干内訳が違うかもしれないという事。 今回投入したデータは過去3年間のものなので、もっと長い過去のデータを用いればさらに的確な天候予測が可能になるとも言える。

1シーズンを通してのテストは、クリスタルボールによるワックス選択は間違い無く効果的なワックス選択を生み出してくれる技術ツールの一つである事が証明された。 さらなる発明、新しい技術を信じるものがより競技に対してアドバンテージを持つ、これは昨今の生活をも象徴している。このクリスタルボールを使用することによって、よく解らない雪の状態を想像し、全て推測でワックス選択を行い現場で当たるか外れるかにかけるか、的確なワックスを必要な分だけ購入し、しかもレースでは調査をし尽くしたワックスと同じパフォーマンスを産み出してくれるという事に気づいた人はいるだろうか。